tsmc分析

tsmcを分析してみた。

財務諸表

単位は全てMilion NTD

BS

BSを見て気づくのは固定資産が多い事と自己資本比率が高い事。
半導体工場は莫大な設備投資を必要とするため、固定資産が多くなる。

PL

PLを見ると営業利益率の高さが目を引く。
30~40%の営業利益率を確保しており、リーマンショックがあった2008~2009年も30%の営業利益率を確保しているので驚きだ。

CF

CFを見るとここ3年は1兆円レベルの設備投資を行っている。
しかし、それでも4000億円のキャッシュが余っている。
どんな会社だ。

このように財務諸表を見ただけで凄い会社なのはわかるが、
ここまでなら会計屋さんならだれでもできる。

もっと深く掘ってみよう。

売上詳細

製品群内訳

モバイル向けが約半分だ。
tsmcの売上の12.5%がアップル向けだと言われている。
iphoneに搭載されているA10チップなどが主な売り上げだ。
他にもクアルコムもtsmcの主要顧客だ。
アンドロイド端末はクアルコムのチップが載っている事が多い。
つまり、世界のスマートフォンに搭載されているCPUの大半はtsmcが製造している。

最近はHPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)も増えてきているようだ。
これはGPUなどの高機能演算デバイスを指す。
具体的な顧客を挙げるとエヌビディアなど。

プロセスルール

7nmのルールの製品群が急速に増えている。
半導体は微細化が進んでいるほど高性能だと思ってもらえば良い。
tsmc風に言うとN7プロセス。
最近はN5(5nm)の開発が終え、量産を始めている。

intelは10nm(tsmcの7nmと同等レベル)の歩留まり向上に苦労している。
技術的にはintelを超えており、世界1位、2位のレベルにある。
tsmc、サムスン電子が世界1位、2位。
intelがやや周回遅れの3位といったところだろう。

ファウンドリー事業とtsmcの強み

ファウンドリーシェア

ファウンドリー事業のシェアは圧倒的で50%を超えている
2位のサムスン電子でも18%で勝負になっていない。
ファウンドリー事業の売り上げの50%がtsmcによるものだが、利益の80%もtsmc
らしい。
なぜ、生産受託なのにこのような圧倒的な地位を築いているのか?
業界外の人間にとってなかなか理解しづらいだろう。
tsmcの強みを説明する前にファウンドリー事業について簡単に説明する。

ファウンドリー事業について

一般的な開発フローと上流メーカー、下流メーカーがどこを担当するのかの概念図が下の図だ。
生産受託と聞くと、図面を受け取ってその通りに生産する。
そのようなイメージを持つだろう。

しかし、半導体ファウンドリーの場合は違う。
イメージだと下の図になる。

一般的に、生産に必要な加工精度が厳しくなってくると、開発、設計、生産を切り離すのが難しくなる。
開発段階から加工の事を考えなければ製品として実現しないからだ。

半導体の場合、生産設備に莫大な投資を行分ければならない。
それを嫌ったメーカーがファブレスとなっているわけだが、数nmレベルのデザインが必要となり、詳細設計はファウンドリーメーカーの力が必要となる。
半導体ファウンドリーは単に生産するだけではなく、詳細設計、つまり、図面に落とし込むところまで提案できなければならない。

tsmcの強み

プロセス技術を一般業界で例えるなら加工精度といったところか。
tsmcの強さはプロセス技術=加工精度だけではない。
世界一の加工精度によって可能になった高い設計力にあると考えている。

数多くの企業から生産受託されているため、様々なノウハウが積みあがっている。
それがtsmcの高い生産技術に繋がっている。
高い生産技術は他社にはできない設計を可能とする。
いざ画期的なデバイスの構想が出来上がったとしても、それを図面に落とし込む作業は自分たちではできないし、他のファウンドリーでもできない。

tsmcなしでは最先端デバイスの要求仕様を図面に落とし込むことさえできない

確かな生産技術に裏付けされた設計力。
これがtsmcがファウンドリーで独占的な地位を築いている所以だ。
半導体製造装置は顧客毎に細かい仕様の違いはあるものの基本的には一緒だ。
intel向けとtsmc向けの装置に大きな違いはない。

tsmcが金に物を言わせて特別な装置を購入しているわけではない。
tsmcの最大の強みはノウハウだ。
これは簡単に真似できるものではない。
それゆえ、tsmcの今の地位が崩れるような事は想像できない。